マタギの教えMATAGI NO OSHIE
山怪

【山怪】6人ヤマ“マタギの禁忌”

2025.10.20

山形のとあるマタギから、こんな話を聞いたことがある。

「6人では、山に入っちゃいけねぇんだ」

理由を聞くと、
昔、この集落で炭焼きをしていた6人の男たちがいた。


冬の炭焼きの帰り道だったという。皆で炭窯をいくつも作り、
泊まり込みで作業していたが、その帰りに雪崩に巻き込まれ、2人が亡くなったと伝えられている。

それ以来、「6人山は悪い」と言われるようになったのだという。
実際に、熊狩りへ向かう朝に6人揃ってしまうと、「今日は中止だな」となる。

「山には6人で入ってはいけない」
調べてみると、こんな昔話が伝わっていた。

六人組の祟り山(むかしばなし)

むかしむかし、東北のある村に“ナカダケ”という、
気むずかしい山の神さまがいると恐れられていた山がありました。

この村では、山に入るときは7人が理想とされていました。
5人でも悪くはない。けれど、6人だけは絶対にダメだと、昔から言われていたのです。

ある秋の日、若い衆がキノコ狩りに行くことになりました。
もともとは7人で行く予定でしたが、
当日になって1人が「ちょっと用事ができた」と減り、6人に。

年寄りたちは「6人じゃいけねぇ」と止めましたが、若者たちは笑ってこう言いました。

「なんだって?人数で運が変わるもんか。迷信、迷信!」

山の神さまが“気にする数”

午前中は何事もなく、ナラタケやボリがどっさり採れました。
ところが、昼を過ぎたころから雲行きが怪しくなります。

急にガスが出て、何度も通った道でも方角がわからなくなってしまいました。

日がどっぷり暮れて、なんとか全員が村へ戻れたものの、
誰もキノコを持っておらず、全員が口をそろえて言いました。

「おかしい…まるで山に試されたみてぇだった」

村の長老がひと言、ぽつりとつぶやきました。

「だから言ったべ。6人は“割れる数”で、山の神さまが嫌うんだ。7人がちょうどええ

偶数は割れる、不吉な数字?

この民話の根っこには、
奇数は縁起がいい、偶数は縁起が悪い」という、昔ながらの考え方があると言います。

たとえば、

  • 4は「死」に通じる
  • 6は「ろくでなし」とも読める
  • 偶数は“割れる”ので、仲間割れや不吉を連想させる

……といった具合です。

山形のマタギはいまだに、6人山を気にしているとか、
“命の境目”に近い場所では、数字に敏感な信仰が今でも根強く残っていると感じました。