このブログのタイトルにもなっている「マタギ」という言葉、
この単語は日常生活では全くと言っていいほど聞くことのないだろう
本来、『 マタギ』という言葉は、東北地方で猟師が狩猟のために、山に入った時だけに使用する一種の隠語で、決して里では使われることのない言葉として「マタギ」=「人間」を意味していた。しかし、その起源には多くの謎がある。
歴史に刻まれるマタギの初出典
記録として最初に世に出てきたのは、南部藩家老日記『雑書』において承応 3 年(1654 年)からマタギという名称が用いられているところからではないかと言われている。また、青森県に残る津軽藩の日記にも元禄七年(1694 年)二月二十二日に「マタギ」という言葉が登場する。
ただ、いわゆる山の中で狩猟をメインとして活動するの18世紀あたりからではないかマタギが登場し始めたとマタギ研究の専門家の田口洋美さんが述べている。
マタギの語源
それでは、『マタギ』という語源に関しては、どのような説が存在するのだろうか。
結論から言えば、マタギの語源についてはさまざまな説があり現在まで定説はない。
マタギという言葉は地域によって異なる意味を持ち、時代と共にその使われ方も変化してきたらしい。その中でも論文などで、まとめられている説には以下のようなものがある
- 「又鬼、マタ鬼」説:
- 地元の人々は「良民を苦しめる悪党(鬼)をやっつける者」や「生き物を殺したり肝を生で食べたり鬼の所業から」など、マタギが屈強な男で、狩猟や開墾に携わる存在であることを示唆して「鬼」を使っている。
- アイヌ語説(柳田國男による)
- 柳田國男はアイヌ語の「マタンキ(=猟)」に「マタギ」という言葉が由来すると考えた。マタギが使う言葉の中にセタ(犬)、ワッカ(水)、ポロン(水)など、いくつかのアイヌ語が用いられていたこともあり説得力を持つ。しかし、この説はアイヌの言葉なのか逆にアイヌの人たちが借用した言葉なのかは分からない
- 古代インド語の起源説:
- 昔のインドの人々が大事なことを書き記すためや重要なお話をするときに使っていたサンスクリット語。マタギがクマを授かった時に唱える言葉の最後に“アブラウンケンソワカ”というサンスクリット語が使われるから、「マータンガ(男)」「マータン ギ(女)」が語源ではないかと言われている。
- 山達説:
- 平安時代から炭焼き、きこり、狩猟など山仕事をする人の総称「山達」。
マタギが所有する秘伝文書がすべて「山達(ヤマダチ) 根本之巻」と記されていることから、マタギとの関連を示唆しされている。
- 平安時代から炭焼き、きこり、狩猟など山仕事をする人の総称「山達」。
- その他の解釈:
- 秋田県仙北郡雪沢村のマタギは「山の峰を跨いでゆくからマタギ」と説明し、中川村のマタギは「木の股から生まれたからマタギ(跨木)」と言っている。また、十和田地方では
「マダの木」(シナの木)の繊維から狩猟用の衣服を作ってことに由来するのではないかと言われている。
- 秋田県仙北郡雪沢村のマタギは「山の峰を跨いでゆくからマタギ」と説明し、中川村のマタギは「木の股から生まれたからマタギ(跨木)」と言っている。また、十和田地方では
結論
以上のように、マタギという言葉の起源には多くの仮説があるが、どの説が正しいのかは未だに明らかではない。この言葉の背景には、東北の歴史や文化、自然との関わりが深く、その意味は時代や地域、関係者によって変わるのが非常に重みのある言葉なのである。
コメント